プロジェクト炎上から学ぶ

はじめに:炎上は「例外」ではなく「必然」
ITプロジェクトの炎上は、特別な事件ではない。
むしろ、複雑な要件・短い納期・変わり続ける仕様・・・
こうした現場の現実を考えれば、炎上は「起こりやすい構造」の中で進むプロジェクトの自然な結果ともいえる。
大切なのは、炎上を「誰のせいか」と責めることではなく、「なぜ起きたのか」を構造的に理解し、「どう防ぐか」を設計すること

炎上プロジェクトに共通する構造的な原因

  1. 要件の曖昧さ
    ・仕様が固まらない
    ・関係者の認識がズレている
    ・「とりあえず作ってみて」が横行する
  2. スケジュールの非現実性
    ・工数見積もりが甘い
    ・バッファがない
    ・変更が前提なのに計画が固定化されている
  3. コミュニケーション不足
    ・情報共有が遅い
    ・問題が表面化しない
    ・チーム間の温度差が大きい
  4. 属人化とブラックボックス化
    ・特定の人しか分からない領域がある
    ・ドキュメントがない
    ・レビューが形骸化している
  5. リスク管理の欠如
    ・問題が起きてから対応する「後追い型」
    ・予兆を見逃す
    ・そもそもリスクを洗い出していない
    炎上は、これらの要素が複合的に絡み合って発生する。

炎上から学ぶべき「設計視点」
炎上を防ぐためには、プロジェクトを「設計」として捉える視点が必要だ。

  1. 要件は「言葉」ではなく「構造」で揃える
    ・ユースケース
    ・画面遷移
    ・データ構造
    ・例外パターン
    言葉だけの要件は必ずズレる。
    構造化された要件は、認識のズレを最小化する。
  2. スケジュールは「変化を前提」に設計する
    ・バッファを確保する
    ・変更が起きた時の判断基準を決めておく
    ・マイルストーンを細かく区切る
    「予定通り進む」前提の計画は、炎上の温床になる。
  3. コミュニケーションは「仕組み」で担保する
    ・毎日の短い進捗共有
    ・問題を早期に拾うためのチェックポイント
    ・チーム全体での情報共有ルール
    属人化したコミュニケーションではなく、仕組み化されたコミュニケーションが炎上を防ぐ。
  4. レビューとドキュメントは「未来の自分」のために書く
    ・コードレビューの基準を明確にする
    ・重要な仕様は必ず記録する
    ・「なぜそうしたか」を残す
    炎上プロジェクトの多くは、過去の判断が見えないことが原因で混乱する。
  5. リスクは「予兆」の段階で拾う
    ・小さな遅れ
    ・小さな仕様変更
    ・小さな不具合
    これらはすべて「炎上の初期症状」である。
    早期に拾い、早期に対処することで、炎上は未然に防げる。

炎上後にやるべき「振り返り」のポイント
炎上は痛みを伴うが、学びの宝庫でもある。
・何が起きたか(事実)
・なぜ起きたか(原因)
・どうすれば防げたか(改善)
・次にどう活かすか(再発防止策)
感情ではなく、構造で振り返ることが重要だ。

おわりに:炎上は「終わり」ではなく「改善の始まり」
プロジェクトの炎上は、誰にとっても辛い経験だ。
しかし、炎上を「失敗」と捉えるのではなく、プロジェクトをより良くするための「フィードバック」として扱うことで、次のプロジェクトは確実に強くなる。
炎上を恐れるのではなく、炎上を「学び」に変える設計視点を持つこと。
それこそが、エンジニアとしての成長を支える力になる。