プロジェクト炎上から学ぶ
はじめに:炎上は「例外」ではなく「必然」
ITプロジェクトの炎上は、特別な事件ではない。
むしろ、複雑な要件・短い納期・変わり続ける仕様・・・
こうした現場の現実を考えれば、炎上は「起こりやすい構造」の中で進むプロジェクトの自然な結果ともいえる。
大切なのは、炎上を「誰のせいか」と責めることではなく、「なぜ起きたのか」を構造的に理解し、「どう防ぐか」を設計すること。
炎上プロジェクトに共通する構造的な原因
- 要件の曖昧さ
・仕様が固まらない
・関係者の認識がズレている
・「とりあえず作ってみて」が横行する - スケジュールの非現実性
・工数見積もりが甘い
・バッファがない
・変更が前提なのに計画が固定化されている - コミュニケーション不足
・情報共有が遅い
・問題が表面化しない
・チーム間の温度差が大きい - 属人化とブラックボックス化
・特定の人しか分からない領域がある
・ドキュメントがない
・レビューが形骸化している - リスク管理の欠如
・問題が起きてから対応する「後追い型」
・予兆を見逃す
・そもそもリスクを洗い出していない
炎上は、これらの要素が複合的に絡み合って発生する。
炎上から学ぶべき「設計視点」
炎上を防ぐためには、プロジェクトを「設計」として捉える視点が必要だ。
- 要件は「言葉」ではなく「構造」で揃える
・ユースケース
・画面遷移
・データ構造
・例外パターン
言葉だけの要件は必ずズレる。
構造化された要件は、認識のズレを最小化する。 - スケジュールは「変化を前提」に設計する
・バッファを確保する
・変更が起きた時の判断基準を決めておく
・マイルストーンを細かく区切る
「予定通り進む」前提の計画は、炎上の温床になる。 - コミュニケーションは「仕組み」で担保する
・毎日の短い進捗共有
・問題を早期に拾うためのチェックポイント
・チーム全体での情報共有ルール
属人化したコミュニケーションではなく、仕組み化されたコミュニケーションが炎上を防ぐ。 - レビューとドキュメントは「未来の自分」のために書く
・コードレビューの基準を明確にする
・重要な仕様は必ず記録する
・「なぜそうしたか」を残す
炎上プロジェクトの多くは、過去の判断が見えないことが原因で混乱する。 - リスクは「予兆」の段階で拾う
・小さな遅れ
・小さな仕様変更
・小さな不具合
これらはすべて「炎上の初期症状」である。
早期に拾い、早期に対処することで、炎上は未然に防げる。
炎上後にやるべき「振り返り」のポイント
炎上は痛みを伴うが、学びの宝庫でもある。
・何が起きたか(事実)
・なぜ起きたか(原因)
・どうすれば防げたか(改善)
・次にどう活かすか(再発防止策)
感情ではなく、構造で振り返ることが重要だ。
おわりに:炎上は「終わり」ではなく「改善の始まり」
プロジェクトの炎上は、誰にとっても辛い経験だ。
しかし、炎上を「失敗」と捉えるのではなく、プロジェクトをより良くするための「フィードバック」として扱うことで、次のプロジェクトは確実に強くなる。
炎上を恐れるのではなく、炎上を「学び」に変える設計視点を持つこと。
それこそが、エンジニアとしての成長を支える力になる。

